肩関節の問題は、日常生活において様々な制限をもたらすことがあります。中でも肩峰下インピンジメントは、肩の慢性的な痛みや機能低下を引き起こす原因の一つとされています。
本ブログでは、肩峰下インピンジメントの原因や症状について分かりやすく解説し、予防法についてもお伝えしていきます。肩峰下インピンジメントに悩む方や、これから学ぶ理学療法士の方にとっても、役立つ情報を提供することを目指しています。ぜひ最後までお付き合いください。
肩峰下インピンジメントとは?
肩峰下インピンジメントはNeerによって提唱されたものであり、肩を挙げるときに肩甲骨の肩峰と上腕骨の間にある肩峰下滑液包、腱板、上腕二頭筋長頭腱などが強く接触して押しつぶされたり、引っかかったりすることで痛みが生じます。これを肩峰下インピンジメントといいます。
注意したいのがこれは病的なものではなく、正常な肩であってもある程度接触はある事です。
新鮮遺体を用いた研究によると、外転、水平外転、肩甲骨面挙上90°での内旋で高まりやすい。
肩峰下インピンジメントの原因
ここでは肩峰下インピンジメントの原因を大きく3つにわけて考えていきます。
・筋作用
・関節拘縮
・肩甲骨運動異常
それぞれ解説していきます。
筋作用
ここでおさえておきたいのが、「フォースカップル」です。
いわゆる「肩関節が安定している」「求心位がとれているか」というのが、肩峰下インピンジメントを防ぐ重要な考え方になってきます。
この「フォースカップル」については今後詳しく解説したいと思います。
ここでは上腕骨頭を上方にひき上げる作用がある筋(インピンジメント)と、下方に引く筋肉をまとめます。
上腕骨頭を上方変位させないために三角筋、烏口腕筋、上腕二頭筋短頭、上腕三頭筋長頭の過度な収縮を避け、大円筋、広背筋、棘下筋、肩甲下筋、上腕二頭筋長頭、前鋸筋、僧帽筋下部を促通させ、アプローチが必要となってきますね。のちほど、どうやって促通するかもやっていきます。
関節拘縮
関節拘縮が起こると、上腕骨頭を上方に偏移させることがわかっています。
特に後方関節包の拘縮により、挙上運動時、上腕骨頭の上前方偏移が生じるというバイオメカニクス研究があります。
これは臨床上も多く経験します。
なぜ後方関節包が硬くなるのか?
若年者では
・スポーツ動作中に繰り返される内旋動作(ボールを投げた後のフォロースルーなど)
・中高年では退行変性により後方部の短縮が起こると考えられています。
肩関節後方の関節包また大円筋、広背筋、棘下筋、小円筋など肩の後ろにある筋肉も緊張が高くなっていないかは確認し、ストレッチなどを積極的に行っていきたいですね。
肩の下~後ろは柔軟にしておくことがよさそうです。
肩甲骨運動異常
最後に肩甲骨の運動の減少があげられる。
肩屈曲時に肩甲骨上方回旋、後傾運動の減少は肩峰下インピンジメントの原因だと考えられています。
肩甲骨を上方回旋、後傾させる筋として前鋸筋、僧帽筋下部繊維があげられます。
肩峰下インピンジメントを呈する症例では健常者や健側と比較し,上肢挙上時や肩外旋時に僧帽筋上部線維の筋活動が増加し,前鋸筋,僧帽筋下部線維の筋活動が減少することが明らかとなっています。
肩峰下インピンジメントに対する運動療法
トレーニング
ここでは私がおススメする前鋸筋と僧帽筋下部トレーニングを紹介します。
前鋸筋
push up plus dolphin
Wall slide
僧帽筋下部繊維
Y エクササイズ
うつぶせ腕挙げ
まとめ
・肩を挙げるときに肩甲骨と上腕骨の間にある組織が強く接触して押しつぶされたり、引っかかったりすることで痛みが生じることを肩峰下インピンジメントといいます。
・肩峰下インピンジメントの原因は主に筋作用、関節拘縮、肩甲骨運動異常などがあります。
・前鋸筋や僧帽筋下部を鍛え肩甲骨の動きを正常化させることがインピンジメントを防ぐのに重要です。