スクワットで膝が前に出るのはダメなんですか?
はじめに
スクワットで膝がつま先を超えることは、多くのトレーニングの指導者やアスリートにとって長年の議論の的となっています。この動作が膝の負傷につながるという考えは広く信じられていますが、科学的根拠はどうでしょうか?
この記事ではスクワット中に膝が前方に出ていいのか?悪いのかについてまとめていきます。
膝を前に出すのは膝を痛めますか?
膝を前に動かすことで脛骨大腿骨関節にせん断力が増加することが示されました。これは、膝の痛みやACL損傷のリスクを高めると考えられています。これは1972年の研究で言われており、現在は膝を前に出すことは有益である可能性もあります。
日常生活でも膝が前に出る動作は多い
日常生活でも膝が前に出て生活をすることはよくみかけます。
・階段の上り下り
・立ち上がり動作
・しゃがみ動作
普段の生活でも膝を前に出し動作をしています。これを繰り返していますが、膝を痛めることはありません。
そしてウェイトリフティング選手もしゃがみ込みで膝が前に出ますが全員膝に痛みを訴えるわけではありません。
膝を少し前に出すほうが腰へ負担が軽減します
こちらの研究では通常のスクワットと膝の前に障害物を置き膝が前に出ないように制限をかけたスクワットでは膝や股関節にどれくらい負担がかかるかを研究しています。
結果、膝を制限しないスクワットと制限ありのスクワットでは
膝を制限するとわずかに膝にかかる負担は軽減しますが、股関節、腰にかかる負担は10倍以上になることがわかりました。
著者らは続けてこう述べています。
膝の前方偏移を認めるのは適切である。体幹を適切なポジションに可能とするためである。もちろん過度な膝の前方偏移はあってはならない。この提案は膝に障害がないことを前提としている。
としています。 膝が前に出ないように制限すると過度に体幹を前傾させバランスをとる戦略を取るので、このトレードオフをどのように調整するかを検討する必要があります。
こちらの研究でも著者らは
ある程度の膝前方偏移は最適なトレーニングを結果となり、腰椎へのストレスを最小限に抑えるために望ましい。または必要さえあります。健康な人にとって意図的に膝の動きを制限することは効果的な戦略ではない。膝痛を抱えるリハビリテーション患者以外は制限されるスクワットを推奨されない。
と述べています。
膝が前に出ないように制限すると過度に体幹を前傾させバランスをとる戦略を取るので、このトレードオフをどのように調整するかを検討する必要があります。
まとめると「膝の痛みがない人はスクワット中ある程度膝が前方に出る方が腰の負担を軽減させるので望ましい」と考えられます。
まとめ
スクワットで「膝がつま先を超える」のは、実は必ずしも悪いことではありません。最新の研究では、この動作は腰への負担を軽減し、効率的なトレーニングに繋がる可能性があることが示唆されています。
ただし、膝に痛みや障害がある場合は注意が必要です。自身の状態に合わせて、無理のないフォームで行うようにしましょう。
「膝がつま先を超える」ことへの考え方は変わりつつあります。正しく理解し、効果的なトレーニングに活かしましょう。
Reference