朝起きた時に足裏が痛い…
「朝起きた瞬間の激痛…」「長時間歩けない…」足底筋膜炎でお悩みの方へ。実は、足底筋膜炎は炎症ではなく、足底筋膜への過剰な負荷が原因です。この記事では、誤解されがちな足底筋膜炎の真実と、改善に役立つ運動療法、生活習慣のポイントをご紹介します。
足底筋膜炎とは?
足底筋膜炎は踵に鋭い痛みを引き起こす足裏の疾患です。目覚めてすぐ歩き出す時、長時間の立ち仕事などで踵付近に痛みが引き起こされます。
足底筋膜の機能、解剖
足底筋膜は足の裏にある厚い繊維性の組織で、踵から足指までつきます。 足のアーチを支え、歩行時の衝撃を吸収する役割を果たしています。
足底筋膜は、特に足の指を伸ばす動作やアキレス腱に負荷がかかる動作、立つ、歩く、走るなどの体重を支える活動をする際に、緊張が増します。足の安定性と動きの制御に重要な役割を果たしているのが足底筋膜になります。
足底筋膜炎の3つの誤解
ここでは足底腱膜炎について理解しておくべき内容を記していきます。
炎症が原因ではない
実は、足底筋膜炎は「炎症」が原因ではなく、変性疾患であることが最近の研究で分かってきました (Lemontら,2003)
つまり、安静にする、冷やす、痛み止めを飲む、炎症を抑える注射をするといった従来の対処法は、あまり効果がない可能性があります。
足裏のマッサージで足底筋膜が柔らかくなる!?
足底筋膜炎の治療として足裏のマッサージや、ストレットボールで足裏をほぐし足底筋膜をゆるめる方法が紹介されています。ボールや指でほぐしたところで筋膜が緩んだり、ほぐれたりはしません。(Chaudhry2008)
冷やすことと同時にマッサージすることで足裏が楽になるのであれば、実施しましょう。しかし、筋膜がほぐれているのではないことを知っておきましょう。
骨棘が原因ではない
レントゲンを撮り足裏に骨棘が出来ていると言われたことはありませんか?
しかしHansenらによると「踵骨棘は足底筋膜炎(PF)の発症や予後に影響を与えず、踵骨棘があっても症状がない患者が多く存在します」と述べています。(Hansenら,2018)
踵の骨棘があるからと言って悲観的になりすぎる必要はありません。
まずは負荷量のコントロールを
足底筋膜炎改善のカギは「負荷のコントロール」
足底筋膜炎の改善には、足底筋膜にかかる「負荷」をコントロールすることが重要です。
活動の調整
痛みが出る動作や活動を一時的に控えたり、強度を調整したりしましょう。ランナーであれば、頻度、距離、速度を調整するなどして、一時的にトレーニング量を減らす必要があります。
また、歩行や立位が難しい場合は、可能な限りそれらを減らす必要があります。 さらに、毎日の歩数を記録することで、許容範囲を理解することもできます。
現在の自分の限界を把握し、それを数週間、数ヶ月かけて徐々に増やしていくことが重要です。
適切な靴選び
クッション性があり、足にフィットする靴を選ぶことも重要です。市販のインソールを試したり、専門家に相談しオーダーメイドで作成する手段もあります。
今日からできる!リハビリメニュー
ここでは、短期間で痛みを和らげるストレッチと、長期的な改善を目指す筋トレをそれぞれ紹介します。
これでも改善しない場合は対外衝撃波、専門家によるインソール作成へと進んでください。(Morrisseyら,2021)
足底腱膜ストレッチ
足底腱膜ストレッチは足底腱膜炎に対するコアアプローチです。(Digiovanniら,2006)
睡眠や座っているなどの長時間の活動がない期間の後、このストレッチを行うことで、立ったり歩いたりするときに感じる痛みを軽減することができます。
- 患部側の足を反対側の脚の上に置き、つま先を脛に向かって引き上げます。
- ストレッチを10秒間保持し、10回繰り返します。
足趾トレーニング
ここではタオルギャザーとつま先ヨガを実施します。ストレッチと含め足指のトレーニングから始めることを推奨します。
踵上げエクササイズ
かかとをゆっくり上げ下げする運動です。ふくらはぎの筋肉を強化し、足底筋膜への負担を軽減します。慣れてきたら、片足で行ったり、段差を使ったりして負荷を上げてみましょう。
足の親指の下にタオルを置き、片脚で踵上げトレーニングを行う方法もあります。(Rathleffら,2014)
インチワーム
運動前のストレッチに最適なダイナミックストレッチ、インチワームをご紹介します。
やり方
- まず手と足をついたポジションから始めます。
- 手の方へゆっくりと足を歩かせます。
- かかとを地面に押し付け、足、ふくらはぎ、ハムストリングスのストレッチを感じましょう。
- 元のポジションに戻り、これを数回繰り返します。
まとめ
足底腱膜炎は、局所的な炎症が主な原因ではないため、氷、抗炎症薬、完全な安静は推奨されません。また、瘢痕組織をほぐす、踵骨棘の除去、足の構造の変更も必要ありません。凍った水のボトルやラクロスボールで足を転がすのは、気分が良くてリハビリの主な目標を妨げない限り有効ですが、必須ではありません。
コアアプローチは、悪化させる活動を修正し、毎日の歩数と症状を追跡し、許容できる身体活動を維持または向上させることです。
短期的な緩和のため、足底筋膜ストレッチを10秒間10回行ってみましょう。
足と足首の長期的な機能を改善するには、かかと上げ運動を 1 日おきに行うことを検討してください。痛みをモニタリングし活動量を増やし足の耐性を高めていきましょう。
免責事項
情報の正確性: このウェブサイトや動画は一般情報提供のみを目的としており、診断や治療の代替として使用すべきではありません。個別の健康状態に関する情報は、専門医や理学療法士からの助言に代わるものではありません。健康に関する重要な決定を下す際には、近くの医療専門家との協力をお勧めします。
Reference